犬・猫が耳を気にするとき
犬や猫が頭を振ったり、後ろ足で耳をかいたりする様子が続くと、心配になる飼い主さまも多いのではないでしょうか。耳のトラブルの背景には、アレルギーや耳ダニ、細菌や真菌(マラセチアなど)による炎症など、いくつかの原因が考えられます。かく・振る様子が数日続くかどうか、耳垢やにおい、赤みの変化があるかどうかが、受診を考えるひとつの目安になります。様子を見てよいのはどんなときで、どんなときは受診を考えたいのか、その目安と、おうちでのケアの注意点を整理しました。
受診の目安
耳をかく・頭を振る様子が数日続くときや、耳垢・におい・赤みの変化、触ると痛がる様子があるときは、受診を考えたいタイミングです。
この記事でわかること
- 耳を気にするときに考えられる原因
- 様子を見てよいときと、受診を考えたいときの違い
- おうちでのケアの注意点と、受診前にできる記録
考えられる原因は?
耳のトラブルの原因は、アレルギー、耳ダニ、細菌や真菌(マラセチアなど)による炎症など、幅広いとされています。
特に垂れ耳の犬種(トイプードル、コッカー・スパニエルなど)は、耳の中が蒸れやすく、外耳炎を起こしやすい傾向があるといわれています。
猫では、子猫や多頭で過ごす環境で、耳ダニ(耳疥癬)が原因になっていることもあるとされています。
耳の様子の見方
耳の状態は、耳の入り口あたりを見える範囲で確認するだけで十分です。汚れやにおい、皮膚の赤みや脱毛がないかを見ます。
無理に耳の中をのぞき込んだり触ろうとしたりすると、その子が驚いて嫌がってしまうことがあります。落ち着いているときに、様子を見る程度にとどめておくと安心です。
梅雨から夏にかけては湿度が高く、耳の中も蒸れやすくなります。においや汚れの変化に気づきやすい時期でもあります。
様子を見てよいのは?
次のような場合は、少し様子を見ても、大きな心配はないことが多いです。
- 耳を気にするものの、耳の中に目立った汚れやにおいがない
- 散歩や外遊びの後の一時的なかゆみで、その日のうちに落ち着く
- 耳の入り口あたりに、皮膚の赤みや脱毛が見当たらない
- 食欲や元気など、ほかの様子に変化がない
受診を考えたいサインは?
次のような様子は、様子を見すぎずに受診を考えたいサインです。とくに数日以上続いているときは、早めの受診が目安になります。
- 頭を激しく振る、耳を頻繁にかく様子が数日続いている
- 耳の中に茶色や黒っぽい耳垢が増えている
- 耳から独特のにおいがする
- 耳の内側が赤く腫れている
- 耳を触ると痛がる・嫌がる
- 耳から膿のような分泌物が出ている
- 片方の耳だけを気にする
- 頭が傾いているように見える
頭が傾いたまま戻らない、ふらついて真っすぐ歩けない、目が細かく左右に揺れているといった様子は、耳の奥まで炎症が及んでいる可能性もあるため、様子を見ずに、受診できる動物病院へすぐ連絡してください。
おうちでのケアの注意点
耳の汚れが気になっても、綿棒を耳の奥まで入れるのはおすすめしません。汚れを押し込んでしまったり、耳の中を傷つけてしまったりすることがあります。
動物病院で扱っている耳用のクリーナーは、指示された範囲で使います。アルコールを含む家庭用の製品は、耳への刺激になることがあるため、耳には使わないようにします。
耳のトラブルは、原因によって適した対応が異なります。自己判断でのケアを続けると、かえって炎症が悪化したり、原因が分かりにくくなったりすることがあります。気になる様子が続くときは、受診を考えたいタイミングです。
おうちで記録したいこと
受診の際は、次のような情報があると診察の参考になります。
- 気になる耳が左右どちらか、両耳かを確認する
- 耳垢の色・量、においの変化をメモする
- 頭を振る・かく頻度と、いつ頃からかをメモする
- 耳掃除用品や薬を自己判断で使った場合は、その内容を控えておく
まとめ
耳をかく・頭を振る様子が数日以上続く、耳垢やにおいが増えた、耳の内側が赤い・触ると痛がるといった変化は、受診を考えたい目安です。「病院に行くほどか分からない」と迷うときも同じです。受診の際は、気になる耳の左右、耳垢の色やにおい、かく頻度といつ頃からかのメモが、診察の手がかりになります。頭が傾いたまま戻らない、ふらついて歩けないときは、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。
獣医師 宍戸優太