犬・猫が皮膚をかゆがるとき
犬や猫が体をかいたり、皮膚をなめ続けたりしていると、心配になるものです。皮膚のかゆみの原因は、アレルギーやノミ・ダニ、細菌や真菌による感染など、幅広く考えられます。かき壊すほどかゆがるか、皮膚の赤みや脱毛が広がっていないか、かゆみが長く続いたり繰り返したりしていないかは、受診を考えるときに見ておきたいポイントです。どこまでなら様子を見てよく、どうなったら受診を考えたいのか、その目安と、おうちでのケアの考え方を順に見ていきます。
受診の目安
かき壊すほどかゆがるときや、皮膚の赤み・脱毛・べたつきが広がってきたとき、かゆみが数週間以上続く・繰り返すときは、受診を考えたいタイミングです。
この記事でわかること
- 皮膚のかゆみで考えられる原因
- 様子を見てよいときと、受診を考えたいときの違い
- おうちでのケアの考え方と、受診前にできる準備
考えられる原因は?
皮膚をかゆがる背景には、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、ノミ・マダニなどの寄生虫、細菌や真菌(マラセチアなど)による皮膚炎が関係していることがあるとされています。
梅雨から夏にかけては、気温と湿度が高くなって皮膚のバリア機能が乱れやすく、汗や湿気で被毛も蒸れやすいため、かゆみやべたつきが目立ちやすい時期ともいわれています。
犬種・猫種や体質によっても、かゆみの出やすさには違いがあるといわれています。
様子を見てよいのは?
次のような場合は、少し様子を見ても、大きな心配はないことが多いです。
- 特定の場所を短時間かく程度で、皮膚に赤みや脱毛が見られない
- 散歩や草むらに入った後の一時的なかゆみで、翌日には落ち着いている
- 食欲や元気、普段の様子にほかの変化がない
- フードやおやつを変えた後の一時的な反応で、数日で落ち着く
受診を考えたいサインは?
次のような様子は、様子を見すぎずに受診を考えたいサインです。とくにかき壊してしまうほどかゆがるときや、かゆみが季節を問わず繰り返すときは、早めの受診が目安になります。
- 同じ場所を執拗になめ続ける、かき壊してしまうほどかゆがる
- 皮膚の赤み、湿疹、脱毛、フケやべたつきが広がってきた
- 特有のにおいが気になる、皮膚がじゅくじゅくしている
- ノミやその糞のようなものが被毛に見つかる
- 症状が数週間以上続く、または季節を問わず繰り返す
- 自己判断で市販の薬・人用の薬を使ってしまった
顔や体が急に腫れる、呼吸が苦しそうといった様子がある場合は、アレルギーによる急な反応の可能性もあるため、様子を見ずに、受診できる動物病院へすぐ連絡してください。
おうちでのケアの考え方
- かきむしって傷にしないよう、必要に応じてエリザベスカラーなどで保護する
- 人用のシャンプーや薬を自己判断で使わない
- 寝具やブラッシングの頻度を見直し、身の回りを清潔で乾いた状態に保つ
- ノミ・マダニの予防が済んでいるか、飲み忘れがないか確認する
人用のシャンプーや薬は、皮膚への刺激になり、かえって悪化することがあります。自己判断で使わないことが大切です。
皮膚のかゆみは、原因によって適した対応が異なります。自己判断で市販薬を使い続けると、かえって症状が分かりにくくなることがあるため、気になる様子が続くときは早めの受診をおすすめします。
受診前にできること
受診の際は、次のような情報があると診察の参考になります。
- かゆがっている部位や皮膚の様子が分かる写真を撮っておく
- いつ頃から始まったかをメモする
- 季節の変わり目やフードの変更など、心当たりを控えておく
- ノミ・マダニ予防薬の使用状況と、直近で使った薬を控えておく
普段のシャンプーの頻度や使っている製品も、原因を考えるうえで参考になります。
まとめ
同じ場所をなめ続ける・かき壊すほどかゆがる、皮膚の赤みや脱毛、べたつきが広がってきた、かゆみが数週間以上続く・繰り返すといった変化は、受診を考えたい目安です。「病院に行くほどか分からない」と迷うときも同じです。受診の際は、皮膚の様子が分かる写真や、いつ頃からか・心当たりのメモ、ノミ・マダニ予防薬や直近で使った薬の情報が、診察の手がかりになります。顔や体が急に腫れる、呼吸が苦しそうなときは、様子を見ずに、受診できる動物病院へすぐ連絡してください。
獣医師 宍戸優太