犬・猫に多いノミ・マダニのトラブル
気づいたら体をかゆがっている、皮膚に赤いブツブツができているといった様子の背景に、ノミやマダニが関わっていることがあります。身近な散歩道や公園にも潜んでいるこれらの寄生虫は、皮膚のトラブルだけでなく、人にもうつる病気を運ぶことがあるため、室内で過ごす子でも一年を通して予防がすすめられています。ノミ・マダニが運ぶ病気、室内飼いの子にも予防がすすめられる理由、予防薬の選び方について、要点をまとめました。
受診の目安
皮膚にマダニが食いついているのを見つけたときは、無理に引き抜かず、そのままの状態で受診を考えたいタイミングです。
この記事でわかること
- ノミ・マダニが起こす皮膚のトラブルと、運ぶ病気
- 室内飼いでも予防がすすめられる理由
- 予防薬のタイプと、マダニを見つけたときの対処
ノミ・マダニは何を起こす?
ノミは犬や猫の皮膚に寄生して吸血し、かゆみや発疹を引き起こします。中には、ノミの唾液成分に対するアレルギー反応で強いかゆみが出るノミアレルギー性皮膚炎を起こす子もいるといわれています。
マダニは草むらなどで犬や猫に取りつき、吸血しながら長時間皮膚に食いついているのが特徴です。
人にもうつる病気を運ぶ
やっかいなのは、ノミ・マダニがペットだけでなく人にもうつる病気(人獣共通感染症)を運ぶことがある点です。
- ノミ:瓜実条虫(サナダムシ)、猫ひっかき病(バルトネラ症)
- マダニ:SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、日本紅斑熱、ライム病など
特にSFTSは近年注目されている感染症です。ペットの体を守ることが、ご家族の健康を守ることにもつながっています。
室内飼いでも予防は必要?
ノミ・マダニは暖かい時期に増える傾向がありますが、暖房の効いた室内では一年を通して活動が見られることがあるといわれています。そのため、室内で過ごす子でも通年での予防がすすめられています。散歩や外出の際に付着したノミ・マダニを、飼い主さまの衣服や靴を介して室内に持ち込んでしまうこともあります。
皮膚のかゆみや赤みが続く場合は、ノミ・マダニ以外の原因が隠れていることもあります。予防とあわせて、診察で皮膚の状態を確認したいタイミングです。
予防薬の選び方の考え方
予防薬にはいくつかの種類があり、その子の生活スタイルに合わせて選ぶことができます。
- オールインワンタイプ:フィラリア・ノミ・マダニ・お腹の寄生虫まで、まとめて予防できるタイプ
- 経口タイプ:おやつ感覚で与えられるチュアブルタイプ
- スポットタイプ:背中に垂らす外用タイプ。猫ちゃん向けとしてもよく使われます
どのタイプが合うかは、散歩の頻度や生活環境、その子の性格によっても異なります。選び方は、生活スタイルをふまえて獣医師と相談しながら決めていくものです。
マダニを見つけたときは?
散歩から帰った後などに、皮膚にマダニが食いついているのを見つけることがあります。そのときは無理に引き抜こうとしないことが大切です。口の一部が皮膚に残ってしまい、炎症につながることがあります。
自己判断でピンセットなどを使って取り除こうとすると、マダニの体だけがちぎれて口器が皮膚に残ってしまうことがあります。無理に触らず、食いついている場所を確認したうえで受診すると安心です。
まとめ
ノミ・マダニは、皮膚のかゆみや発疹を起こすだけでなく、人にもうつる病気を運ぶことがあり、室内で過ごす子でも予防がすすめられています。予防薬にはオールインワン・経口・スポットのタイプがあり、散歩の頻度や生活環境、その子の性格に合わせて選んでいきます。予防をいつから始めるか、今使っているお薬で足りているかといった疑問は、診察の機会に獣医師に確認しておくとよいでしょう。散歩の後などにマダニが食いついているのを見つけたときは、無理に引き抜かず、そのままの状態で受診を考えたいタイミングです。
獣医師 宍戸優太